「絵師白書2010」の結果を「コミックマーケット30周年記念調査」と比較してみた

といった記事と共に「絵師白書2010」というWebアンケートの結果が公開されていました。この調査項目の一つである「同人誌即売会で、最高で1回あたり何冊売れたことがありますか?」の結果が「少なすぎないか?」と思ったのでちょっと調べてみました。で、今回資料として利用したのは以下の書籍。

コミックマーケット30’sファイル―1975‐2005

コミックマーケット30’sファイル―1975‐2005

この本の290ページから「コミケット30周年記念調査結果報告」という統計データが掲載されており、その中の「頒布部数」と比較してます。ただ、この資料の調査時期は「2004年8月15日(コミケ66)」なので、ちょっとデータとしては古いかもしれません。

頒布部数調査の比較

男性


女性


全体


考察

どうやら「絵師白書2010」の結果は「コミケット30周年記念調査結果」に比べて全体的に頒布部数が少な目に出ているようです。その原因は「6年間の間に購入者の財布の紐が堅くなり、頒布部数が落ち込んだ」のかもしれませんが、どちらかというと「『絵師白書2010』で回答したユーザーはあまり即売会におけるサークル活動に興味がないから」という感じでしょうか。「絵師白書2010」の「同人誌即売会に頒布側(出展側)として参加したことはありますか?」という質問に対して「サークル参加(委託含む)している」と回答した人は全体の17%しかなく、約8割の人は「昔していた」「一般で」「参加した事がない」と、サークルとして即売会にほとんど参加していませんでした。従って、即売会にあまり関心がないのであれば、そこでの頒布部数にもそれほど頓着していないのかな?と、思った訳です。まぁ、論理の飛躍がありますが(笑)。

もしくはサンプリングに偏りがあったのかもしれません。標本数が「絵師白書2010」は「3,986人」なのに対して「コミケット30周年記念調査結果」は「37,620人」。たまたま「絵師白書2010」のアンケートは頒布部数が少な目なサークルの集団から回答を抽出してしまったという事であれば、こういった結果になる事もありえます。このようなアンケートの場合、標本数は多ければ多いほど結果の信頼性は高くなります。

余談

頒布部数と関連が強い、いわゆる「同人って儲かるの?」という疑問に対して「コミケット30周年記念調査結果」から資料を一つ引用します。

サークルの収支

サークルの実に7割が赤字です。黒字のサークルは残り3割ですが、その内20万円以上黒字になっているサークルは全体の7%。1割にも満たない数です。これを見ると「同人ってほとんど儲からないんだなぁー」と、多くの人が思うでしょう。でも、です。その7%のサークルって何サークルぐらいあるのでしょうか?はい、答えは簡単なかけ算ですね。正解は「約2,500サークル」。「ちくしょー、やっぱり儲かってるんじゃねーかっ!」という怨嗟の声が聞こえてきそうです(笑)。