べっかんこう絵に対するアニメサイドからの見解

このガイドブックのインタビュー記事にちょっと興味深いことが書かれていました。

――作画にあたって気をつけた点、苦労された点は?
気をつけた点は、先ほどもいいましたがべっかんこうさんの絵を再現すること。苦労した点は、実はふつうの人間を描く感覚だと描けない絵なんですよ。要はマンガ絵なんで、リアルの人間と同じ骨格ではないんですね。顔は特に、どちらかというとフィギュアを描く感覚。フィギュアがしゃべって、立体的に動いてる、と考えて描いています。これはあくまで私の感覚、やり方なんですけど……。リアルに考えてしまうと、整合性をとろうとするあまりキャラが似なくなっちゃうんですよね。ふつうのアニメーターさんはそういう風に描かないですし、それを求めるのも難しいでしょう。ああ、私の手が遅くて量がこなせなかったのが1番の苦労だったかも(苦笑)。

このように語っていたのはアニメ「FORTUNE ARTERIAL 赤い約束」のキャラクターデザイン・総作画監督である石原恵氏。「ふつうの人間を描く感覚だと描けない」「リアルの人間と同じ骨格ではない」という部分は「べっかんこう氏の絵には現実(リアル)の人間の肉体的要素が希薄」という風に受け取りました。また、「どちらかというとフィギュアを描く感覚」という点ですが、これは2次元から派生した2.5次元(フィギュアを2.5次元と表現しますよね)のものをまた2次元に落としこむという作業になるのですが、この作業の過程において3次元を経由することがありません。なのでこちらは「べっかんこう氏の絵は3次元(現実)と接点がなく、ほとんど2次元で完結している」と解釈しました。つまり、現実世界(3次元)という事象の地平面を越えたところにある絵ということですね、わかります(おっ)。

もっとも、この見解が「べっかんこう絵」についてのみなのか、石原氏がこれまで関わってきたエロゲ原作アニメの原作画に対してもなのかについては、この記事だけではわかりません。TVアニメならば「Fate/stay night」や「桃華月憚」、OVAであれば「顔のない月」「キャッスルファンタジア 〜聖魔大戦〜」「そらのいろ、みずのいろ」などで原作画についてどのように感じていたのかがわかれば、そのあたりがはっきりするとは思いますけどね。