2011年上半期に発売されたエロゲの描き下ろしショップ特典について考えてみた

前回の続きというか与太話。エロゲのショップ特典はイベントCGや雑誌に掲載されたイラストを流用したものと、そのショップ特典の為に描き下ろされたイラストを使ったものがあります。そしてここら辺の事情は下記のようになっているようです。

しかし、今も昔もソフトの販売数の大半がショップ様の店頭販売です。
昔に比べると今は店頭買いはあまりされないらしいですが、それでもショップで買う人が大半です。
なので大量にソフトを売ってくださるショップにはメーカーは頭があがりません。
特にソフマップメッセサンオーは昔からすごい力を持ち結構無茶な特典の絵柄をメーカーに要望してきます。
ショップはショップ特典しだいでゲームの売れる本数が変わるので、
ショップ特典用の書き下ろしイラストがのどから手が出るほど欲しいわけです。
(※ショップ特典の制作費はショップ持ち)
それなりに販売数を確保できる会社にはメーカーはテレカ用の絵柄を提供します。

一番良いエロゲーの買う方法!! via エロゲー業界裏話
A:発売当月の予算に少しでもうちのゲームを計上してもらうため、ショップ専用特典のオファーを受けたいのですが、
開発に余裕があるかないかで出来る出来ないが決まります。私としては完全新規のイラストによるグッズを提供したいのですが、
開発との折り合いが付かないと雑誌で一度載ったイラストやイベントCGの流用ということもあり得ます。
まだ原画の作業が終わっていない時などは……力及ばず、ショップさんにもお客さんにも本当に申し訳ありません。

Q:やっぱりそういう事情があるんだね。

Q:雑誌社とショップさんの希望するままに描き下ろしを描いていくことなんて、とても出来ませんわよね。

A:ゲームの規模によっては描き下ろしにかかる工程が、原画作業の全行程に匹敵しかねないという話もあるくらいですから。
幸いうちのゲームはそこまでオファーは来ませんが、大手さんだと相当凄いみたいですね。

新 天使と悪魔のただいま密談ちゅ via PUSH!! 2011年2月号

斯くしてエロゲメーカーとエロゲショップの間で描き下ろし特典に関するせめぎあいが発生する訳ですが、そのせめぎあいの結果が2011年上半期はどうなったのかを次に示してみたいと思います。

描き下ろしショップ特典が多かった順リスト

注:この場合の描き下ろし特典には「書き下ろしドラマCD」や「ショップ限定のアペンドディスク」等、そのショップ特典の為にエロゲメーカーがリソースを割いて制作したものをすべて含めています。

タイトル名 描き下ろし特典数
朧小町 15
sisters 14
愛しい対象(カノジョ)の護り方 12
つよきす3学期 12
11eyes -Resona Forma- 12
シークレットゲーム CODE:Revise 12
CAFE SOURIRE 12
神採りアルケミーマイスター 11
もろびとこぞりて 11
もっと 姉、ちゃんとしようよっ! アフターストーリー 11
猫撫ディストーション 11
初恋予報。 11
めちゃ婚! 11
妄想ぷろとこる! 11
恋祭☆綺想カメリアノート 11
グリザイアの果実 10
CURE GIRL 10
舞風のメルト 10
Worlds and World's end 10
でりばらっ! 10
懲罰指導(おしおき) 10
フラグへし折り男 10
蠱蝶の夢 10
ハチポチ 10
カミカゼエクスプローラ 9
STARLESS 9
ごっこ 9
極道の花嫁 9
復讐催眠 9
戦極姫3 9
とらぶる@すぱいらる! 9
Flyable CandyHeart 9
デュエリスト×エンゲージ 9
With Ribbon 9
三射面談 9
SHUFFLE! Love Rainbow 9
夏雪 9
電激ストライカ 9
Hyper→Highspeed→Genius 9
ヴァニタスの羊 9
アクロウムエチュード Canvas4 9
規制不可 9
神楽早春賦 9
サクラの空と、君のコト 9
闇夜に踊れ 9
処女と魔王とタクティクス 9
黙って私のムコになれ! 8
relations sister×sister. 8
恋ではなく 8
AQUA 8
太陽のプロミア 8
ひなたテラス 8
Primary Step 8
アネカノ 8
ぜったい絶頂☆性器の大発明!! 8
BLOODY†RONDO 8
アルテミスブルー 8
蒼穹のソレイユ 8
純潔★女神さまっ! 8
姫様限定! 8
キミとボクとエデンの林檎 8
すきま桜とうその都会 8
12+ 8
ぶらぶら 8
手毬花 8
A.G.II.D.C. 8
初恋タイムカプセル 8
俺たちに翼はない R 8
小夜子 8
巨乳ファンタジー外伝 8
種憑け村 8
コイ☆カツ! 8
必殺痴漢人II 8
Marguerite Sphere 8
ハッピー・ハーレム・スクリプト 8
LOVELY×CATION 7
ラブラブル 7
White〜blanche comme la lune〜 7
狗哭 7
カスタムレイドV 7
なでしこドリップ 7
勇者と彼女(キミ)に花束を 7
へんし〜ん!!! 7
アネイロ 7
操心術0 7
マブラヴ オルタネイティヴ クロニクルズ02 7
スイートロビンガール 7
fortissimo EXA//Akkord:Bsusvier 7
右手がとまらない僕と、新人ナース 7
触祭の都 7
学園BETRAYER 7
必殺痴漢人I・IIパック 7
しゅ〜てぃんぐ妹スター☆ 7
神楽箱 7
あかときっ!! ご入隊セット 7
あかときっ!! 7
Mてぃーちゃー 7
眠れる花は春をまつ。 7
euphoria 7
雨芳恋歌 7
あまふたサンドイッチ!!! 6
新婚性活 6
禁親相愛 6
真・夜勤病棟 6
それでも妻を愛してる 6
巨乳トライ! 6
少女のきもち 6
令嬢の秘蜜 6
聖戦姫ヴァルキュア・シスターズ 6
ろーるぷれいんぐがーる!! 6
まかぱらっ! 6
サマー☆きゃんぷ 6
童貞な女子達とボク 6
学園退魔! ホーリー×モーリー 6
フローライトメモリー 6
Rewrite 5
大帝国 5
星の王子くん 5
さくら色カルテット 5
カスタムメイド3D 5
妹ぱらだいす! 5
Vermilion -Bind of Blood- 5
超魔汁! 5
そらいろメモワール 5
いじらレンタル 5
雪鬼屋温泉記 5
Stellar☆Theater encore 5
オタカノ 5
究極魔法少女 絶対☆姉貴 5
おねガン! 5
母娘催眠 5
夜姦診療 カルテ2 5
KISS×700 KISS探偵 5
獄淫の尖塔 5
魔法の守護姫アルテミナ 5
はっぴぃふぁくとりー 5
穢翼のユースティア 4
フォルト!!A 4
ムコ取り十番勝負! 4
姉キス@Home 4
虐襲1・2・3パック 4
雀極姫 4
ディバインハート マキナ 4
肛魔の巫女 4
恋愛+H 3
美衣菜△です! 3
孕神 3
眠り姫の眠らぬ夜に… 3
巨乳ちゃんはビ・ン・カ・ン 3
アキバ戦隊!エンジェレイヴァー 3
牝辱の穴ウメ 3
鬼哭街 (全年齢版) 2
ママクラブ・参観 2
俺たちに翼はない Prelude&AfterStory 2
ホワイトブレス パーフェクトエディション+ 2
ジンコウガクエン 1
淫術の学園 1
GREEN STANDARD EDITION 1
修羅恋 0
欲情教師 0
孕ら☆パラっ!! 0
触診病淫 0

特典の数については「ショップ数」でカウントしています。つまり、あるショップで「描き下ろしベットシーツ」と「描き下ろしテレホンカード」が付いていた場合でも、「2」ではなく「1」とカウントしています。

前回の「ショップ特典の数」で並べたリストと比べると大分顔ぶれが違うのが面白いですね。で、このリストだけではいまひとつピンとこなかったので、作品ごとの「ショップ特典の数」と「描き下ろしショップ特典の数」を偏差値に変換して、散布図にプロットしてみました。

ショップ特典偏差値散布図

ショップ特典の数と描き下ろし特典の数はおおよそ比例している感じですが、「ショップ特典の数は多いけど、描き下ろし特典の数が非常に少ない」というタイトルが存在し、それはグラフ右下の領域にあたります。そしてこれらは、ありていに言ってしまえば「オーガスト」「アリスソフト」「Key」の作品です。ぶっちゃけここら辺は大手なので、「別にぃー、ショップ特典がなくてもー、うちの作品は売れるしー、どうしてもー、描き下ろしが欲しかったらぁ、〇〇本ぐらい発注してね(はーと)」的な対応でも、ショップ側が「ちっ、仕方ねぇーな…」というパワーバランスになっているような気がします(おっ)。

次にグラフ右上を見ると、ここには「ショップ特典の数が多く、描き下ろし特典の数も多い」作品が並んでいます。この領域にある作品は「名のあるスタッフが参加している新ブランド」や「それなりなポジションにある中堅ブランド」が作ったものがほとんどを占めています。いわゆる「前評判が高いエロゲ」もしくは「鉄板なエロゲ」が位置しているという感じ。しかしながら、「描き下ろしはゲーム制作のリソースを消費する」との言があったように、これらが多すぎた為「ゲーム中のイベントCGが増やせなかった」ということがあったりなかったり…。何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」なのかもしれませんね。

続いてグラフ左上の「ショップ特典の数は少ないけど、描き下ろし特典の数が多い」作品。「制作側のリソースは足りているけどショップからの引き合いが少ない」という感じでしょうか。「ある程度評価はされているけど、あまりパッとしないブランド」の作品が位置しているようです。

最後にグラフ左下。「ショップ特典の数が少なく、描き下ろし特典の数も少ない」作品。廉価版や通常版が含まれているのですが、多くは「あまり聞いたことがないなぁー」的なブランドの作品がここにあるようです。

さて、与太話にしては長くなってしまいましたが、ショップ特典とは、ある意味エロゲブランドのバロメーター(制作リソースや前評判など)のようなものだと思って見てみると、なかなか面白いもののようです(笑)。