アメリカでは仮想児童ポルノの単純所持を違法とする判例が確定しそう

「鬼うた。」記事へのトラックバックからこの事件を知りました。

39歳のクリストファー・ハンドリーは児童ポルノ所持の罪を認めていますが、最高15年の禁固刑を処せられる上に、生涯にわたって小児性犯罪者としての烙印を押されることになります。

彼は児童性愛者ではなく、さらに実際に児童ポルノを閲覧したという証拠も上がっていませんが、彼が罪状を認めたことで、世界で初めてマンガ類に描かれた児童の性的な表現によって有罪を宣告されることになるようです。

ただ、「世界で初めてマンガ類に描かれた児童の性的な表現によって有罪を宣告される」については保留。以前少なくともオーストラリアで下記のような事件がありましたから。

オーストラリアの最高裁判所は世界的に有名なアニメ作品「ザ・シンプソンズ(The Simpsons)」に登場するシンプソン一家の長男バート(10歳)、長女のリサ(8歳)そして次女で乳児のマギーが性的な行為に参加するという内容のマンガをインターネット上に公開した男性に対して、マンガが児童ポルノと認定した上で有罪判決を下したそうです。

そして「アメリカでは仮想児童ポルノ規制は違憲ではなかったのか?」と思ったら実はそうではないようです。

アメリカではバーチャルポルノ規制は違憲という判決が出ている。

Handley容疑者は、児童ポルノ禁止法『2003 Protect Act』の下で起訴されていた。未成年が性的な行為に関わる様子を描写し、「正当な文学、芸術、政治、科学的価値」を欠くマンガや図画、彫刻作品、絵画を禁止する法律だ。

アメリカの最高裁は仮想の未成年の猥褻描写のある表現物に関する訴訟で規制に対して一応違憲判決を下してはいる……しかしこの判例の射程範囲(判決の効力が実際に及ぶ範囲)について学者や司法関係者の意見が一致しているわけではない。

PROTECT Actでもうひとつ対象にしているのが、前述の「わいせつ児童ポルノ」で、これはわいせつ物規制の章に新設された条文になっている。前のCPPA違憲判決がMiller testを理由としていたので、それならMiller testによっても修正第1条で保護されない領域については禁止しよう、という方向で作られた。児童の性的に明白な行為の描写でわいせつなものであれば、製造・頒布・所持を、現実の児童ポルノと同様の罪とするもの。さらに、「わいせつ」の解釈の州間でのブレがあるためか、「児童や児童に見えるものが獣姦、サドマゾ行為、性交などをしている画像の描写で、まじめな文学的、芸術的、政治的、あるいは科学的価値を欠くもの」もこれに含めている。

[追記: わかりにくい!という指摘があったので追記すると、上記の「わいせつ児童ポルノ」は現実児童に限定されず、マンガなどを含む定義になっている]

アメリカでは現行の法律でも仮想児童ポルノの単純所持が違法となる状況になってしまったという事。これも「日本で児童ポルノ規制法に『単純所持規制』と『仮想ポルノ(マンガ、アニメ、ゲーム等)規制』が追加されたらどうなるか?」という問いに対する答えの一つですね。