エロゲ雑誌が売れない。そして値段は高い。

「2012 出版指標 年報」が発行されましたので、前回の記事「エロゲ雑誌は今日も衰退中」に2011年のデータを追加しました。結果としては、発行部数は2002年から10年連続、発行金額は2004年から8年連続で減少。今年に入って「PC Angel neo」が突然休刊になったりとその衰退っぷりに終わりが見えない状況が続いています。

データ元

  • 1997〜2012 出版指標 年報 「出版科学研究所発行」

年報の「雑誌の出版傾向 - 児童 - ゲーム関連誌ジャンル別発行データ」から「ジャンル:美少女」の推定発行部数と推定発行金額を抜粋しています。

推定発行部数 (万冊) 増減(万冊) 前年比(%) 前年比増減(%) 推定発行金額 (億円) 増減(億円) 前年比(%) 前年比増減(%) 1冊あたりの推定発行金額
94 310 21.08 680
95 444 134 143.2% 43.2% 31.09 10.01 147.5% 47.5% 700
96 596 152 134.2% 34.2% 40.72 9.63 131.0% 31.0% 683
97 746 150 125.2% 25.2% 52.55 11.83 129.1% 29.1% 704
98 681 -65 91.3% -8.7% 48.51 -4.04 92.3% -7.7% 712
99 677 -4 99.4% -0.6% 48.39 -0.12 99.8% -0.2% 715
00 711 34 105.0% 5.0% 50.91 2.52 105.2% 5.2% 716
01 888 177 124.9% 24.9% 63.61 12.7 124.9% 24.9% 716
02 781 -107 88.0% -12.0% 60.63 -2.98 95.3% -4.7% 776
03 757 -24 96.9% -3.1% 60.95 0.32 100.5% 0.5% 805
04 647 -110 85.5% -14.5% 53.97 -6.98 88.5% -11.5% 834
05 588 -59 90.9% -9.1% 50.79 -3.18 94.1% -5.9% 864
06 521 -67 88.6% -11.4% 47.18 -3.61 92.9% -7.1% 906
07 505 -16 96.9% -3.1% 45.15 -2.03 95.7% -4.3% 894
08 458 -47 90.7% -9.3% 41.58 -3.57 92.1% -7.9% 908
09 404 -54 88.2% -11.8% 36.52 -5.06 87.8% -12.2% 904
10 352 -52 87.1% -12.9% 32.44 -4.08 88.8% -11.2% 922
11 313 -39 88.9% -11.1% 30.69 -1.75 94.6% -5.4% 981

グラフ

【推定発行部数と推定発行金額の推移】

【1冊あたりの推定発行金額指数】

まとめ

2011年の美少女ゲーム雑誌の出版傾向は、

  • 推定発行部数:352万 → 313万 39万冊減(-11.1%)
  • 推定発行金額:32.44億 → 30.69億 1.75億円減(-5.4%)

のように2010年から推定発行部数が1割減。推定発行金額も5%減となっております。で、ここまでが「エロゲ雑誌が売れない」について。「エロゲ雑誌の値段は高い」については下の方のグラフを参照して下さい。これは、まず推定発行金額を推定発行部数で割ったものを「1冊あたりの推定発行金額」とし、これを「雑誌の単価」と見做したうえで、94年の単価を100として指数化したものです。また、比較として月刊誌の指数も併記しています。

美少女ゲーム雑誌は1994年から2001年まで月刊誌とほぼ同じように指数が上がっていましたが、2002年から急激に上昇しました。その後上昇は2006年に一旦落ち着いたものの、2011年からまた急激に上がっています。結果、月刊誌全体において17年間の上昇率は2割だったのに対して、美少女ゲーム雑誌は4割以上も上昇しており、比較すると急騰していると言わざるをえません。

また、この数値は美少女ゲーム雑誌「11誌」を集計したものですので、2011年の値を1誌あたりに換算すると

  • 1誌あたりの年間推定発行部数 → 28.5万冊
  • 1誌あたりの月間推定発行部数 → 2.4万冊

になります。もうマスメディアとしてのエロゲ雑誌は終わりの時期に差し掛かっているのかもしれませんな。